長距離ドラックドライバーがコロナ禍でも無敵な理由
ペーパードライバーからの脱出を応援している「せとぐる」です。
世界中を混乱の渦に巻き込んでいる
新型コロナウィルス
ですが、私たち物流関係も例外なく巻き込まれています。
毎日、日本国内を血液のごとく駆け巡っている
トラック
は、今現在も滞ることなく物を運び続けています。
日ごろ大きな移動を伴うトラックドライバーが、このコロナ禍においてどのように活動していたのか、「せとぐる」の周囲で起こっていたことに焦点を当ててお話しします。
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長距離トラックドライバーのコロナ事情
気が付けば、急に周りの人から心配されるようになりました。
「県外ばかり行ってるけど大丈夫?」
ドライバー本人よりも、周りの人たちがものすごく心配してくれるので、初めはありがたく聞いていたんですが、次第に違和感を感じるようになりました。
というのも、トラックドライバーは移動距離こそ長いものの、人と接する機会が多いわけではないので、世間の持つイメージと自分たちの思いとが、だいぶかけ離れていることに気が付いたからです。
春ころ東京を先駆けとして全国で活動自粛が始まると、ついにその影響が「せとぐる」のところまでやってきました。
妻がパート先で「出勤停止」になったのです。理由は、私がトラックドライバーで全国を走り回っているから
。
私たち夫婦は、それに対して違和感こそあれ不満はありませんでした。
何故なら新型コロナウィルスは未知なるウィルスであり、誰も正しい対処方法など知らなかったんですから。
ほどなくして全国でトラックドライバーが、あらぬ偏見を持たれていることが話題になりました。
「せとぐる」はそれについても批判する気にはなれませんでした。
なぜなら、コロナに対する情報や、トラックドライバーに関する情報が圧倒的に不足している状況だったから、誤解や偏見は免れないと思ったからです。
でも、誰かがトラックドライバーの実情を説明してほしいなとは、常に思っていました。
誤解が解けるほうが、お互いにいいですからね。
トラックドライバーは三密なのか?
コロナウィルス感染に注意するキーワードとして早くから
三密を避ける
と言われていました。
三密とは
- 密閉
- 密集
- 密接
です。
密閉
トラックドライバーは、その多くの時間をトラックキャビン(運転席)内で過ごします。キャビンの中は完全に
密閉
ですね。
救いなのは、そこにいるのは自分一人だということです。近距離のトラックなら二人の場合もありますが、長距離だとほとんど一人です。
そして、窓は閉まっていますが、エアコンをうまく使うことで、十分な換気が行えます。
ウィルスに対して「比較的強い密閉」だといえるのではないでしょうか。
密集
トラックドライバーは、荷物の積み下ろしのときに他人と関わります。
その際には、人が密集するのでしょうか?
答えは、NOです。
荷物の積み下ろしは非常に少人数で行われていて、フォークリフトなどを扱う通称リフトマンと、ドライバーの二人だけというのがせいぜいです。
ドライバー一人で積み下ろしなんて言うことも、決して少なくないんです。
「せとぐる」も、自身一人でフォークリフトを操縦して積み下ろしすることが多いです。
誰か、密集するほど大勢で手伝いに来てくれればいいんですけどね。
密接
荷物の積み下ろし時は、コロナの前から
ソーシャルディスタンス
が保たれていました。他人と近づきようがないんです。
ドライバーが荷台の脇にいて、リフトマンがフォークリフトを操作していたり、ドライバーが一人で荷台で荷積みしている感じですね。
トラックドライバーはキレイ好き
「せとぐる」の職場のドライバーは、みなさんキレイ好きな人が多いです。
「潔癖か?」とも思えるドライバーさん多数
みなさんトラックと聞けば昭和のイメージでお話をされますが、今どきのドライバーはものすごくキレイ好きです。
道路を走るダンプやトラックを見てください。ピカピカに磨き上げられたトラックが走っているでしょう?
洗車はもちろんですが、各パーツまでピカピカに磨き上げていますよ。
そんなドライバーさんのキャビンは、塵一つ落ちていないほどきれいです。とても清潔な車内を保っています。
車がきれいな人は衛生面も真っ当
車をきれいに保っている人は、当然衛生面にも気を使います。
そもそも自身がきれい好きなのに加えて、今のコロナ禍ですから、アルコール除菌も当たり前です。
トラックが我が家
長距離トラックドライバーは、4日・5日と運行するのが常ですから、当然自宅に帰る機会は少ないですね。
1年のうち半分以上、下手すると7割以上をトラックの中で寝泊まりしていることになります。
もうこうなると、トラックは自宅以上に我が家なんです。
キャビンの中を清潔に保つのも、当然というわけです。
夏場のシャワーは苦労した
トラックドライバーも当然お風呂に入りたいわけです。
しかし、お風呂事情は決していい環境とは言えません。
かろうじて
- ガソリンスタンドのシャワー
- 高速道路のシャワー
- 道の駅のお風呂
などが利用できますが、車が大きいだけに駐車できる数は限られており、早い者勝ちの競争に突入するんです。
だから、コロナで全国のシャワーが使えなくなったときは大変でした。
幸い「せとぐる」は瀬戸内海ばかり走っていたので、大きな被害はこうむりませんでした。
あと、大分や和歌山に渡るときにはフェリーに乗船するのですが、この夏フェリーのシャワーはずっと使用できました。
フェリー会社の皆様には、本当に感謝しています。
トラックドライバーは免疫力が高いのか?
これは全くと言っていいほど赤点レベルだと思います。
睡眠は不足がち
常に寝不足と戦っています。寝不足は安全運転の面でも、健康管理の面でもいいことはありません。
栄養バランスが取れない食事
自宅に戻れないトラックドライバーは、外食が中心です。しかし、財布と相談が必要な外食事情なので、ついついコンビニのお世話になっています。
健康管理のための食事というよりは、
- 安く
- 手軽に
- 好きなものを
- たくさん
食べているのが実情ですね。
有酸素運動が不足
トラックドライバーは肉体労働ですが、歩いたり走ったりする機会は少ないんです。ずっと運転席に座っていますし、荷物の積み下ろしも全身を使う割に歩く距離は少ないです。
なので、筋肉はつくんですけど持久力は弱いかもしれません。
疲れ・ストレスは個々人次第
疲れることは間違いないです。しかし、ストレスがあるかというと、それは個々人次第ではないでしょうか。
トラックで走っている間は、ほとんど一人なので対人ストレスが少ないのがドライバーのいいところです。
「せとぐる」はストレスなく働いています。
笑い・ユーモアは超人級
ドライバーの多くは案外社交的です。普段一人で孤独に仕事しているので、ドライバー仲間が顔を合わせるとよくしゃべります。
なかには、芸人さんかと間違えそうなほど話術がうまい人もいます。
みんな運行中にあったハプニングも、盛りに盛って笑いに変えてしまう天才ばかりです。
喫煙率はいまだに高い
長距離トラックドライバーは令和の今も、喫煙率は高いです。
でも以前と違って、喫煙マナーはしっかり守ります。
うちの職場では、建物の中でタバコを吸う人は当然いません。みなさん夏の暑い日も、冬の寒い日も駐車場横の屋外喫煙所で喫煙しています。
「せとぐる」はタバコを吸わないのですが、他人の喫煙は全く気になりません。
他人に迷惑をかけないで自分のお金でタバコを吸うのなら、全く問題ないと思っています。下手に禁煙してストレスをためるよりも、健康的といえるかもしれません。
もちろん、タバコを吸わないほうが「いい」とは思っていますよ。
結局気合で乗り切っている
免疫力を上げる行動ができているとは到底言えないトラックドライバーですが、結果として多くの感染者は出ていません。
うえに書いたことは、個人で解決できることではなくて、職業環境全般の課題です。
ドライバーはそれぞれ気合で乗り切っているのです。
一つ考えるのは、「ストレスを減らす」ことが、免疫力を高めていくことに効果があるのかもしれないということです。
対策がしっかりしてとられた物流業界
2020年の春先にコロナ感染が騒がれると、うちの会社でも小さな対策が始まりました。
早くからマスクが配られた
今では懐かしい「マスク不足」ですが、その前に会社ではドライバーに対してマスクが配られました。
「せとぐる」は当初大げさなんじゃないかと思っていましたが、会社の判断は正しかったのです。
積み地 おろし地では体温測定
自分の会社にとどまらず、あらゆる出入り会社では
- マスク着用
- 手洗い
- アルコール除菌
が当たり前になり、やがて
体温測定
も日常になっていきました。
積み地やおろし地の会社受付では
非接触型体温測定器
で体温を測定し、規定以上の発熱があると荷物の積み下ろしを断られます。
健康状態を申告
体温測定と併せて
健康状態のチェック表
などを記載して提出することも多くありました。
過去の健康状態や行動の記載を求める会社もあります。
感染があった場合の、追跡に役立つのだと思います。
会社事務所も換気が十分
会社の事務職員さんは、一日8時間以上限られた空間で仕事をするので、
三密
といえる場にいます。
なので、万が一トラックドライバーが、よそからウィルスを持ち帰ったりしたら、事務員さんたちは一番の被害者になります。
会社の事務室は窓を開け放し、十分な換気をしていました。
おかげでドライバーは、遠くから会社に帰っても事務員さんから嫌な顔などされることなく、気持ちよく仕事ができたのです。
休憩室も窓は開きっぱなし
会社の休憩室には大きな場度があり、春から冬に至る半年以上の間、しっかり開けてくれていました。
窓を開けて冷暖房機をつけるのは、会社の経費削減とは全く逆のことでしょうが、会社はずっとドライバーの健康を一番に考えてくれていたのです。
まとめ
以上のように
- 感染リスクは移動距離よりも人との対面の仕方
- トラックドライバーへの偏見があるのは情報不足
- トラックドライバーは三密でない
- 物隆業界は早くから感染予防対策をしていた
- トラックドライバーはキレイ好き
- トラックドライバーが免疫力アップの生活ができないのは業界全体の課題
というのが、「せとぐる」が常々感じている感想です。
社会に目を向けると、「Go To トラベル」が消費喚起のために人々から求められたり、感染拡大の元凶のように扱われたりと、ずいぶん振り回されています。
感染拡大と移動距離
には、直接の関係がないというのが、「せとぐる」の持論ですから、中止せざるを得なくなった今の状況がとても残念です。
ただし、旅行者や移動者全員のの感染対策が万全とは期待できないでしょうから、Go To中止は仕方がないこととも思っています。
人の移動は停められても、現状で
モノの移動を停める
ことは、許してもらえません。
世界中のトラックドライバーは、一人キャビンの中でだれにものをいうこともなく、明日からも
荷物を運び続ける
のです。